平手友梨奈、そして欅坂46への決別。【僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46】

2020年10月29日

スポンサーリンク

欅坂46、最初にして最後のドキュメンタリー映画、「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」1,4000字レポートになります。映画を3回観たうえでのレポートになりますが、すべての言葉や描写を鮮明に記憶しているわけではありませんので、そちらはご容赦ください。

※ネタバレ注意※

導入 ~欅坂46の世界へ~

映画の幕開け、卒業・脱退したメンバーを含めた全員の名前が、あいうえお順に表記されます。1期生2期生での分け隔たりもなく名前が並べられるのは見たことがなかったので印象的でした。

2019年9月の東京ドーム。「二人セゾン」のリハーサルで、メンバーが踊るセンターステージに向かって伸びる、花道を「ドス、ドス」と足音を響かせて歩いていく、平手友梨奈(てち)の背中が映ります。「太陽は見上げる人を選ばない」では平手がメンバーの周りを回り、それを囲むように噴水が上がる様子がスローで映されます。

場面変わって本番直前。俯き加減でたたずむ制服姿の平手は、最初の曲を披露する「2018ロッキン衣装」に身を包む菅井や渡邉理佐、守屋と石森そして小林らに背中をさすられたり、ハグをされて励まされています。この後トップバッターで5万人の待つステージに一人で繰り出すことになるのですから、その心情は計り知れません。

1曲目「ガラスを割れ!」。イントロで「Oh,oh~」とメンバーが歌い始め、ファンが応えるように「Hey!」とコールを叫びます。

この映画は”音楽映画”として作られているほど、ライブの臨場感がビリビリと伝わってきます。頭のてっぺんからつま先にかけて、脳の仕組みが解明できて、ノーベル賞をもらえるんじゃないかというぐらいに明確に電気が走ってきます。(特に、立川立飛のTOHOシネマズにある「轟音シアター」では、より本物のライブさながらにビートが心臓に打ち込まれました。)

そして1番のサビが終わる直前に、場面はそのまま2018年の全国ツアー、千秋楽幕張で4曲目に披露された同曲へと切れ目なくつながります。

齋藤「欅は優しくて繊細な子が多い。だから誰か一人の感情がみんなに伝染しちゃうんです」

石森「いつも思うんですけど、みんなで手をつないで崖に立っている感じ、輪になって。誰かが落ちたら一緒になって落ちちゃうんじゃないかって」

間奏では囲まれてダンスをする平手が、「叫べー!」「僕も強くなりたい!」と叫び声を上げます。そして大サビのタイミングで平手だけが飛び出して、力強く、踊りの振りに合わせてセンターステージへ突進していきます。ヘッドセットのマイクも外れるほどの激しさでダンスを踊り切った演出は圧巻でしたが、照明が暗転すると平手はフラフラとステージの端に歩いていき、そして鈍い音を立てて上から落ちていきました。

「サイレントマジョリティー」で鮮烈デビュー(2016)

ここで映画はデビューまで遡ります。

2016年4月「サイレントマジョリティー」でアイドルの概念を覆す鮮烈なデビューを飾りましたが、場面はその発売のためのPR活動へ。メンバーがいくつかのグループに分かれて都内の音楽ショップ46店舗を回ります。挨拶を務めるのは、最年少14歳でセンターに抜擢された平手。スマホにメモされた膨大な量のカンペを、移動の最中も唱えながら覚えます。「うわぁダメだ!」と焦る平手の表情や声には、あどけなさが残ります。

菅井はデビュー当時を振り返り、「入ったときは(イメージとして)やっぱりアイドルは競争とかピリピリしてるのかなと思ってたけど、メンバーはみんな優しくて。足とか踏まれるのかなとか思ってたんですけど(笑)。みんなも(そうじゃなくて)よかったぁって」と話しました。

場面はサイレントマジョリティーのジャケット撮影を行う渋谷川へ。

小林「サイレントマジョリティーは今までのアイドルっぽくなくて、デビュー曲がそれで良かったなって。」

小池「(渋谷川は)ネズミの死骸とかがあって怖かったんですけど、(街の下を流れる川での撮影は)これからの成長を表しているのかなって」

平手は撮れた写真を真剣な眼差しでチェックしているのですが、その顔が可愛すぎてダメですね。額に入れて飾りたいくらい。

3/17に開催されたデビューカウントダウンライブでは、「みなさんこんばんは、せーの欅坂46です」と、本番直前まで挨拶を覚えようとする平手の姿が。始まる直前には「できないできない~!」と駄々をこねるように声をあげて、今泉に「行くぞ!」と手を引かれながらステージ袖まで向かう様子が映ります。長濱ねるも今泉と小林に「いつも歌声カバーしてくれてありがとね」と言って、小林から「全然カバーしてないよ」と励ましてもらっていました。

そして、会場にOP映像が流れて、ファンの声援も一段と大きくなる中、メンバーたちは覚悟を決めてステージへ向かいます。ステージに立つ彼女たちは少し緊張に顔を強張らせながら、それでも堂々とデビュー曲、ダンストラックをパフォーマンスしていく様子が映し出されます。(ライブの一部は、欅坂日向坂の公式音楽リズムゲームアプリ「ユニゾンエアー」で見ることができます。)

ライブ後のインタビューで平手は、「欅はダンスがすごいらしいので、逃げられないなって(笑)。なので、ダンスパフォーマンスをすごいなて思っていただきたいです。今日も泣けなくて、多分満足してれば自然に涙が出てくると思うんですよ。・・・いつか来ますかね、そういう日が!」と、最後は明るく締めくくりました。

ここが平手友梨奈の大きな特徴のひとつです。こちらがどんなにすごいと思えるパフォーマンスを見せてくれても、彼女自身が満足することはありません。この表現の突き詰めが彼女の凄さであり、また時に自分の体の限界を超えてしまう原因となっています。

「世界には愛しかない」MV撮影(2016)

続く8月に発売される2ndシングル「世界には愛しかない」のMV撮影は、雨の降る北海道で行われました。

体育館での撮影で、フロント(前列)初挑戦の理佐や志田らがリップシーンに苦戦するなか、2作連続センターの平手は、磨きのかかった表現力で問題なくこなしていきます。メンバーもかたずを飲んでその様子を見守ります。

小林はインタビューで「平手にはずば抜けた表現力がある。自分にはそれがないのがわかってるから」と語っています。

有明コロシアムで初のワンマンライブ(2016)

12/24~25に有明コロシアムで行われた、欅坂46初のワンマンライブ。平手はライブ中の細かい演出「クリスマス(ダンス)のところはみんなで『ハイハイハイ』とかけ声やろう、体育会系の感じで」と伝えるなど、中心となってみんなを引っ張ります。

ライブ終盤のMCでは、菅井が「私たち欅坂46は、大先輩たちの恩恵を受けて、身の丈に合ってないと言われても仕方ないようなとても大きなステージに立たせていただいて。正直私たち欅坂46はまだまだ未熟です。これからどんどん頑張って、いつも笑顔をくださる皆さんに恩返しができるよう、また頑張っていきたいです」と涙ながらにスピーチしました。(その後2017年1/21にキャプテンに任命されます)

ライブ後に秋元康から「サイレントマジョリティーはもっと良くなる。みんながアイドルはこうだっていうイメージをつけてしまっているから。もっと自分たちらしいものを作ってほしい。道をたどると欅坂46から始まったよねといわれるような」とさらなる高みを目指すよう伝えられます。

「不協和音」発売。変化の兆し(2017)

順調な活動を続ける中、2017年4月5日に4thシングル「不協和音」を発売。

守屋「変わってきたなと思ったのは二人セゾンのとき。そのときはまだコミュニケーションはとれてたんです。日によって波があったり。わからなくなっちゃったのは不協和音あたり。

MV冒頭で、平手が地面から立ち上がり拳を突き出す、と同時にメンバーが駆け寄ってきて平手を守るようにポーズをとるシーンの撮影。走ってくるときに小林がコンクリートの地面に転倒してしまい、膝が血だらけとなり、メンバーが駆け寄って心配そうに声を掛けます。

平手だけはそちらを心配そうに見るものの、立ち位置から離れてこちらに来ることはありませんでした。

菅井「曲に入ってたのかな?ポジションが横だったんですけど、絶対に目を合わせてくれなくて。シンメ(シンメトリーのポジション)がねるだったんですけど、ねるも同じこと言ってて。」

守屋「この曲の主人公は孤独だから、信頼してる人とか、ひとりのほうが楽なのかなって」

撮影を終えた控室でマネージャー(やっさん?)と明るく談笑する平手をカメラは捉えます。「不協和音はテンションがやばい。(ライブでも)盛り上がると思う。ワンハーフやってもきつかったもん。」

こちらから見ている限りは、この先の大きな変化のきっかけは感じませんでした。メンバーのコートを集めた中で座り込んでいるキャロい写真とか、レギュラー番組内でもまだいつも通りの明るさはあったので。ファンも変化を顕著に感じたのは、全国ツアーが始まってからのことでした。

全国ツアー「真っ白なものは汚したくなる」(2017)

7/19の1stアルバム「真っ白なものは汚したくなる」発売、7/22・23に初の野外ライブとなる「欅共和国2017」を経て、8/2に始まった夏の全国ツアー「真っ白なものは汚したくなる」

8/16・17名古屋公演の初日、スタッフから平手が急遽この日の公演に出れなくなったこと”がメンバーに知らされます。「理由はいろいろあるんだけど、特に(8/12の)ロッキンに出たときに、勝ちに行くつもりだったのに自分で納得のできるパフォーマンスができなくて、自信がなくなってしまったと。今はそのまま葉抜きでやるのか、代理でセンターを立ててやるのか考えている」と。(当時は公式から体調不良で欠席とアナウンスが来ていました。)

動揺を隠しきれないメンバーたちは、代理センターver.でリハーサルを行うものの、多くのメンバーがそれに反対をします。チーフマネージャーからは、「『欅坂って平手がいないと成り立たないのか』って言われるのは俺は悔しい。こんなに魅力のあるメンバーがいるのに。でも結局そうなっちゃってるじゃんって」と檄を飛ばされますが、状況は変わりません。

小林「踊ってないときにファンの方の顔が見えるんですよ。純粋にパフォーマンスを見てくれてないなって」

齋藤「はっきり見えるわけではないんですけど、幻覚や幻聴に近い感じ。お客さんの動揺が肌に伝わってきて。ライブが始まる前に逃げ出しちゃいました(笑)」

守屋「てちがセンターならバックダンサーでもいいと思ってて、当時は。だからほかのメンバーが立つのは違うなと思っちゃって」

菅井「私たちに価値はあるのかなって。でも他のメンバーも見てほしいんです。本当に素敵なメンバーばかりで、もっと日の目を浴びるようになるといいなって。」

結局、初日はセンターの位置を空けたパフォーマンスで終始行われました。ライブ中流れた「エキセントリック」の中で、歌い出しを含めた平手の歌詞部分が”無声の状態でパフォーマンス”されていく様子が虚しさを感じさせました。

自分にとってはこの2017年ツアーの千秋楽前日の幕張公演が初めてのライブ参戦でした。この頃から各イベントについては直前まで「平手が出なかったらどうしよう」という不安はついて回りました。でもこの日は出演してくれて。それでも欅共和国2017まで見せてくれていた笑顔や明るさは消えてしまいました。

ここから欅の負の連鎖は、我々ファンにも伝わってくるほど大きなものになっていきます。

紅白で見せた2度の「不協和音」の果てに(2017)

全国ツアー千秋楽の、ダブルアンコールで披露した「不協和音」。その直前で銃声が響き、平手が顔を血のりで赤く染める姿が映し出された後、場面は12/31の紅白歌合戦、ウッチャンとコラボした2回目の不協和音のシーンに切り替わります。数人が過呼吸でステージで倒れてしまうアクシデントが起こりました。

その後の楽屋で、どこに向けるでもなく置かれた記録用ビデオカメラに、メンバーたちの声だけが残されています。

平手(2017)「単刀直入に言うと、12/31をもって、いったんグループを離れようと思います。休業って言う言い方は好きじゃないから」

(メンバーたちの「え?え?」という動揺した声や、守屋の「離れない選択はないの?」と震えた声。)

原田「(当時を振り返って)なんとなく予感はしていたけれど、いざそうなると受け入れられなくて。じゃあ誰がセンターやるの?この曲の雰囲気はどうやって伝えるの?ファンの方はどう思うんだろう?って。」

尾関「みんなで止めましたね。とにかく止めようとしました。」

平手(2017)「みんなの意見を聞いてから考えようと思って。みんなは今、欅坂をやってて楽しいですか?”

初めて聞いたとき、すごいゾワっとしました。インチキおじさんが登場しないほうです。これをみんなの前で問いかけたのかと。平手の意図としては、自分ばっかりが目立ってしまうこの状況を変えたくて、ということもあり、いったん離れたいという結論に至ったようです。

スタートこそ横一線、もしくは他のメンバーのほうが目立つこともありました。それがサイマジョでセンターに選ばれて以降、徐々に格差が生まれてしまう。でもそれは紛れもなく平手の努力の結果であり、でも他のメンバーの努力が足りてないというわけでもありません。でもそうなってしまっている。

小池「平手は常にグループとか曲のことを第一に考えてくれていて、私たちよりもずっと先のことを考えている。私たちが悩むようなことではもう悩んでいないんですよ」

菅井「(平手についての印象を聞かれ)私もファンみたいな感じなんです。てちのパフォーマンスが好きで。次はどんなパフォーマンスを見せてくれるんだろうって」

そこから場面は翌2018年4月、2周年記念ライブの「不協和音」(センター:菅井)へ。このライブは事前に平手が不参加ということが決まっていたこともあり、各曲に”代理センター”が立てられ行われました。代理を立てるという選択肢が選べるようになったことは、欅坂46の大きなターニングポイントになったと思います。

その後も基本的なセンターは平手が務めたものの、平手が出れないときに代わりに誰かがセンターをやることができる、その経験値となりました。

「ガラスを割れ!」平手の帰還(2018)

6thシングル「ガラスを割れ!」のMV撮影シーンへ場面は変わり、平手がグループに戻ってきました。
間奏で平手を中心にメンバーやバックダンサーたちが輪になってぐるぐると走り出すところがあり、その撮影シーンから映画冒頭の、2018年全国ツアー千秋楽の「ガラスを割れ!」に場面が戻ってきます。

菅井「人生TOP3に入るぐらい焦りました(笑)照明でなんとなくてちが花道のほうに向かっていったのはわかったんですけど」

齋藤「これついていったほうがいいのかなとかいろいろ考えました。メンバーも顔を見合わせたりしているのを見て、これアドリブだと」

聞きました?あの一人飛び出して花道を進んでいったのは、演出ではなくアドリブだったんですって(驚)。当時私もその場にいてライブを観た一人ですが、全然そんなことわからなかったです。というより、ステージから落ちたことにもすぐには気づかなかったです。

TAKAHIRO先生(欅坂すべての楽曲の振付指導)「あれは、怒りました。けがをするのはだめだよって、怒りました。目の前のガラスを割るんだって、止めるものなんかないんだって、そのときの彼女の中の”僕”像が破裂したんだと思います。

その後メインステージに明かりがつき、MCで話し出している彼女たちのイヤモニに、平手がこの後出られなくなったこと、それでも普段通りそのまま続けてほしいという指示の声が送られてきます。

小池「二人セゾンはソロダンスがないと私の中で成立しないなって思ってて。直前まで踊る踊らないって迷いました。でも、お客さんを全員敵に回してでも、欅坂と平手の曲を守るためにやりました

その言葉通り、佐藤にマイクを預け、ソロダンスを踊る様は、とてもアドリブとは思えない完成度でした。敵に回るどころか、よくやってくれたという気持ちになって嬉しかったです。

映画には描かれなかったのですが、ライブ途中のMCで菅井から平手がケガで参加できていないこと、本人は出たいと言っているが病院で検査を受けていることが報告されました。平手が出れなくなったことに発奮したのはメンバーだけではありません。「サイレントマジョリティー」「世界には愛しかない」歌い出しの、平手パートをファンの合唱でカバーしたりと、おこがましいかもしれませんがあの瞬間だけは、メンバーと一緒にライブを作っているような、この公演を成功で終わらせたいという想いが会場でひとつになりました。

さらにアンコールでは、グッズTシャツにペンライトを持ったメンバーの中に、なんと平手の姿があるではありませんか。もしケガがなかったら違う曲を披露したのかもしれませんが、全員で「W-KEYAKIZAKAの詩」を披露しました。平手が無事戻ってきたこと、メンバーだけに見えるモニターにスタッフからのサプライズでこれまでを振り返る写真のスライドが流れたことでメンバーは号泣しながら歌いました。あの時のハッピーオーラ溢れる瞬間は忘れることは出来ません。(こちらの映像も、ユニエアやラストアルバムの特典ディスクで見ることができます)

9thシングルで、ついに選抜制度導入へ(2019)

そして。場面は飛んで2019年7月、9thシングル選抜発表の場へ。事務所の会議室に集められ、重苦しい空気の中、運営の今野さんから「9枚目のシングルから選抜という形をとらさせていただきます。名前を呼ばれた人は返事をして前に出てきてください(ポジションごとに整列)」と発表がされました。

トップバッターでいきなり二期生の藤吉夏鈴が呼ばれ、本人も驚いた様子で恐る恐る前に出てきます。そこから次々と名前が呼ばれていき、センターには、平手友梨奈の名前が呼ばれます。

今野さん「以上になります。呼ばれなかったメンバーはいったん退室願います。お疲れ様でした」と、冷たいと感じるほど事務的なアナウンスをされ、移動する落選したメンバー。楽屋では座り込んで泣く小池を石森が静かに寄り添って慰めています。

石森「何で自分が(外れた)とは思わなかったです。でもふーちゃん(齋藤)がいたからダンスまとまってたじゃん、みぃちゃん(小池)がいたから二人セゾン上手くいったじゃんって。必要ないメンバーなんていないんですよ、私の中で」

この発表は番組「欅って、書けない?」(けやかけ)でも放送されましたが、空気が重たすぎて私たちファンにとっても、とっても辛い時間でした。「なんでこの子が落選なの?」という想いや、平手が選ばれてほっとする感情もありましたし、でもまたセンターを背負わせるのかという不安、2期生も入り大所帯となってきた現状、選抜は避けられないよなぁという納得などなど。

ただこの時は、なによりも久しぶりにシングルが発売されて活動が活発になることへの期待が大きかったです。この時はまだ。

卒業生への想い

ここで映画は、卒業したメンバー(一部)について少し言及されます。

今泉佑唯について小林は「喜怒哀楽を一番共有してると思います。ライバルみたいな存在でもあって。だから今活躍している姿を観ると、頑張ろうって思う」と話します。

2周年記念ライブで、小林と今泉がダブルセンターで披露した「ガラスを割れ!」の迫力は今でも覚えています。そしてなにより二人が組んでいたユニット「ゆいちゃんず」は抜群の歌唱力とハーモニーで、欅坂の表題曲にはない種類の、優しい音色を届けてくれていました。

長濱ねるについて齋藤は「大きな仕事を短期間で一人で欅坂の顔としてこなしてくれて。だから卒業早いなとは思って悲しかったけど、ありがとうって送り出すことはできました」と話しました。

番組のカップリング企画で相思相愛な姿を見せたほど仲の良い二人。そして齋藤の言う通り、平手とは違った形でバラエティなどで活躍をして、欅坂の顔となったねるの卒業はとてもとても悲しかったですが、現在の元気な姿(2020年7月から芸能活動復帰)が見れたことには安心をしております。

幻の9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」(2019)

2019年7月。幻となる9thシングル「10月のプールに飛び込んだ」のMV撮影のリハーサルが、風力発電の風車が近くに見える、小高い丘で行われていました。

ピクニックで使うようなシートやかごなど異国風のセットで、ミュージカル調のストーリーが展開していくことを予感させる練習風景に、前作「黒い羊」とは正反対の明るい雰囲気を見ました。初めてMV撮影に臨む二期生も楽しそうにリハーサルを進めます。

しかし、台風の接近により翌日の撮影は延期となりました。
延期後の10月、今度は打って変わって浜辺での撮影に。映画監督がMVの撮影スタッフに「平手さんはいらっしゃるんですか?」と尋ねると、「基本来ないです。メンバーも知らない」という答えが返ってきます。

そう、この日の撮影に平手は現れず、センターがいないなかで撮影が行われる不思議な光景が映し出されていました。後日、事務所に集められたメンバーを前に今野さんから、平手が”この曲を表現することができない”という理由でMV撮影に参加しなかったことが、チーフマネージャーからは「(欅坂が)いったん休業した方がいいんじゃないかとか、そういうところまできてしまっている。」という現状を伝えられます。

インタビューで菅井は「(次の曲や活動が始まるまで)メンバーが残っててくれるのかな」と涙を流します。映画監督は空気を変えようと、「じゃあこれだけ聞いていい?平手さんにしっかりしてくれよって思うことはない?」と少し砕けた言い方で質問しました。

菅井「ふふっ。しっかりしてくれよ・・・。(平手は)今まであったことのない天才なので、てちがいたからここまで成長できたと思っている。でも活動が思うように行かないことにギャップもあって。どうして上手くいかないんだろうって」と、噛みしめるように話してくれました。

結局9thシングルは延期のまま発売されることはありませんでしたが、現在発売中のラストアルバム「永遠より長い一瞬」に収録されているので、ファンとしてはとりあえず胸を撫でおろしました。

夏の全国ツアーが三度開幕(2019)

2019年、夏の全国ツアーが始まります。金網の中で目覚めたメンバーたちの中で、鈴本美愉(もんちゃん)にスポットライトが当たります。ゆっくり前に歩み出てきて、金網を右手で「バーン!」と、大きな音を立てて掴むと同時、にセンター鈴本の「アンビバレント」(通称:もんビバレント)が始まります。

鈴本は元々ダンスに定評があるメンバーでしたが、センターポジションでなくともつい目で追ってしまうダイナミックさやキレ、表現力を持っていました。もっともっと活躍が見たかったですが、平手と同じ時期に卒業をしていきました。

小林「(2019ツアーは)誰々がいないっていう不安な気持ちよりも、みんなでそれをカバーしようという気持ちが強かったです」

「二人セゾン」に関しては、引き続き小池が代理でセンターを務めます。しかしリハーサル中に泣き出してしまい、それを慰めるようにTAKAHIRO先生が優しく声をかけます。

TAKAHIRO先生「自分じゃ足りないって思っちゃったのか。それで怖くなっちゃったんだな。・・・僕の意見を言ってもいいですか?(小池がコクコクと頷く)僕は、この曲は小池がいいと思ってる。小池の柔らかい部分とか、内側にある弱い部分とか優しい部分はこの曲にあってると思う。なんでもできる強い人がこの曲はできないと思う。だってそういう曲でしょ?誰かに寄り添ってあげるような。だからやるときはほかの誰かと比べなくていい。右のひとでも左の人でもない。比べるなら過去の自分と比べて、前よりも少しでもひとつでも新しい発見ができたなって。そういうことを考えてほしい」

このときのTAKAHIRO先生の言葉素敵すぎます。常にその子の気持ちに寄り添ってあげる姿がとても印象的です。とても紳士でかっこいいお兄さんです。語り口調もとっても優しくて、親とか先生の鏡のような存在だと思います。

そうして披露された「二人セゾン」のソロダンス。小池は「今までは欅のために平手のためにやってきたんですけど、自分なりの表現をしようと思って。明るい楽しい部分を表現できたらって。季節でいうと春とか夏とか。平手のセゾンが秋冬だとしてと話しました。言葉通り、平手の切なさとは違ったパワフルさを兼ね備えたダンス、歌の最後に微笑む姿には、彼女なりの「二人セゾン」が見えました。

その後、ライブは「避雷針」へ。雷鳴が轟く中、ステージにぱっと明かりがつくと、メンバーと対峙するように立つ平手の背中が映ります。会場も平手がいることに気づき歓声が大きくなります。平手は大阪公演よりこの避雷針限定でライブに復帰しました(私が見に行った横浜公演の次から!ショック!!)。

そして大サビ前の大きく轟く雷とともに、夜の渋谷の町が映し出されます。

再び東京ドームの舞台へ(2019)

そして再び、2019年9月の東京ドーム公演へ戻ってきます。アンコールが鳴り響く会場の裏、「不協和音」の衣装に着替えた平手の表情は険しい。とても苦しそうに「嫌だ嫌だ」と、駄々をこねるように、現実逃避するかのように言います。

しかし時間は無情にも近づき、スタッフやメンバーに連れられて舞台に向かいます。平手自身、以前ラジオか何かで「自分はとても緊張しいで」と話していたこともあるし、映画前半のデビューライブのときも同じように嫌だ嫌だと言っていたので、スタッフの扱いに慣れた様子から、もしかしたら顔の表情ほど深刻なものではないのかもしれないと思いました。そもそも、冷静に考えると弱冠18歳が5万人の前でセンターとして踊るなんて、普通じゃとても考えられないですよね。想像もつかないです。そう思うと、平手のその行動に自分の中でひとつ腑に落ちたような気がしました。

圧倒的歓声の中で久しぶりに披露された、平手がセンターの「不協和音」。大サビ前の間奏中には、平手の苦痛にも似た叫び声が聞こえてきて、それがピークに達したところで「僕は嫌だ」と悲痛な叫びが放たれます。自分もその場にいましたが、本当に何か感情がはじけ飛んでしまったような叫びでした。

アンコールを終え、控え室に戻るメンバー。その中でただひとり、平手はねずみ色の制服に着替えて待機しています。スタッフが扇風機で風を送ったり髪をセットする中で座る平手の表情は先ほどにも増して辛そうで、しかし移動の時間となり、センターステージまで花道の下の狭い通路を、平手を寝かせた台車を、スタッフが腰を目一杯屈ませて押し、センターステージの下まで向かっていきました。

そして東京ドームど真ん中に現れた平手は、会場がどよめく中、自身の主演映画「響」の主題歌で、当時未発売曲の「角を曲がる」を披露します。(同じ出演シーンではなかったですが、ボランティアエキストラとして映画に参加したのが懐かしいです)

平手自身にリンクしたような歌詞の内容が、コンテンポラリーダンスで表現されていくさまに、会場は釘付けとなりました。曲の途中、ラジオ「スクールオブロック」内で、今年(2020年)の1/23に脱退を発表する平手の声が挿入されます。「”欅坂46の”平手友梨奈です」と挨拶しなかったことや、脱退理由を「今は言いたいと思わないので」と、そのとき抱えていた気持ちそのままに言葉を届けてくれたことを、昨日のことのように覚えています。辛かったですけどね。いつか理由を聞いてみたい気もするし、その頃にはもう気にしていないかもしれないですね。

曲が終わると、一呼吸おいて平手が「ありがとうございました」と深々お辞儀する中、会場は暗転します。平手の目には光るものがあったかもしれません。メンバーはパフォーマンス中、食い入るようにモニターを見つめていて、終わったときには会場の観客と共に、拍手を送っていました。

紅白で魅せた「新・不協和音」(2019)

映画はそのまま2019年紅白の「不協和音」最後のシーンへと移ります。深紅の衣装の紅白限定衣装に身を包んで披露を終えたメンバーに、総合司会のウッチャンは「素晴らしかった!新・不協和音だ!」と賛辞を送っていました。今回も再び抱えられるように楽屋へ戻った平手の目には、涙が流れていました。この時のパフォーマンスをもちろんリアルタイムで視聴していましたが、平手の怖いくらいの狂気な顔つきが今でも脳裏に焼き付いています。

その日の帰り際に、平手はメンバーひとりひとりとハグを交わし、「もう一緒にはできない」ことを伝えたそうです(音声はないですが、その場面も映画で映されます)。優しく笑顔で聞いている小林や齋藤、涙を流して「受け入れたくない」という顔を見せる原田や田村の表情を見ると、やるせない気持ちになります。

渡邊「今までグループのためにと犠牲にしてきた分、自分のために幸せになってほしいな」

原田「感謝しかないです」

そんな中で小林は、10秒の沈黙を挟んで「メンバーが思っていることと、私が思っていることで違うなって思うことが多かったので。だから、こういう場では言いづらい」と話しました。

ここまで欅坂の人気を上げた一番の功労者は平手だと思います。でも、他のメンバーが支えてきたからこそ今の欅坂があるのも事実です。そういった想いの一端でも見せてくれた小林の気持ちは、素直に嬉しいです。小林がいるこのグループは、まだまだ強くなると確信しました。

TAKAHIRO先生はインタビューでこう話しました。欅坂46の”僕”は背負い人なんです。「不協和音」でみんなから石つぶてを受けて。みんなの弱いところとか変えたいところとかを背負って。だから象徴的な存在なんです。(「大人の責任って何でしょうね?」との質問に対して)大人の責任・・・見続けることではないでしょうか。大人と子供ということなら。それこそ点じゃなくて、線で見続ける」

「黒い羊」に込められた想い(2018)

8thシングル「黒い羊」のMV撮影終盤にシーンは移ります。平手が子供(過去の自分?)から彼岸花の花束を受け取り階段を上る。何かを叫んで屋上にいるメンバーたちに駆け寄って、大サビへとつながっていきます。MVでは平手が叫ぶところはサイレントになるので、何と叫んだかは口の動きで推測することしかできません。この映画で、もしかしたら答え合わせができるかもと少し期待した分、そこはカットされていたので残念でした。それだけあのシーンは答えをあえて明かさないことに意味があるのかもしれないですが。

そこから場面は2019年に行われた初の日本武道館公演、その千秋楽で披露された「黒い羊」に切り替わります。ライブで披露されたのはこの公演が唯一で、MVの時と同じ衣装で、2期生も加えて披露されました。自分はこの前日に観に行っていたので、観れませんでした。ぴえん。(そしてこちらもラストアルバムの特典映像で観ることができます)

最後に平手から彼岸花が小林に手渡され、でも平手は小林が抱きしめようとするのを拒み、一人みんなと反対方向に去っていきます。小林も、花をぎゅっと抱きしめた後に、花をステージ上の台の上にそっと置いて、その場を後にします。「死」を連想させるこの曲の結末の解釈は様々ですが、個人的にはこの主人公たちは「生きる」選択肢を選んだんじゃないかと思っています。

曲が終わると再びMV撮影に戻ります。カットがかかった後、撤収を始める中でうずくまったままの平手に駆け寄るメンバー。それをMV用のカメラが印象的に映し続けます。誰かの悲しみにみんなで寄り添い支え合う姿が、大きな欅の木のようにも見えます。

これが彼女たちの本質なのかもしれないと思いました。誰もが誰かのためを想って欅坂は成り立っているんだと。もしかしたら、これまで全員選抜にこだわってきた結果の表れなのかもしれません。櫻坂になっても引き継いでもらいたい彼女たちの強さです。

「誰がその鐘を鳴らすのか?」(2020)

そして2020年。焚かれたスモークの中をマスク姿のメンバーが歩いていく様子がスローで映し出されます。これは7月に行われた初の無観客配信ライブ、「KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU!」のリハーサルの模様です。

小林「ライブは楽しかったです。会場全体を使って曲に合わせてセットを組んだりして。でも、大切なお知らせ込みだったので

ここで菅井が欅の活動休止と、改名を発表する様子が映し出されます。菅井は当時を振り返り、「新しいグループになる中で、キャプテンとかも、どうなんだろうって思ったこともあったんですけど。応援してくれる、必要としてくれる人たちがいる限りは活動を続けていきたいなって」と。

渋谷PARCOの屋上でほほ笑む菅井を映しながら、カメラが徐々に上空に遠ざかっていき、渋谷の街が映し出されます。そして鼓動の音が聞こえ、配信ライブで披露したラストシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」の映像に切り替わり、歌と共に映画の幕が降ります。曲が終わるとエンドロールです。

エンドロールには、オンラインライブで披露した「太陽は見上げる人を選ばない」の音声が使われ、メンバーやスタッフの名前の流れる合間にライブのかっこいい姿、ライブ後のおちゃめな姿を収めたシーンや、車か自転車で、きれいに晴れた渋谷の道路をカメラが疾走していく様子が映されます。

エンドロールでよかったのが、通常映画は最後に監督の名前が出てきて終わるのですが、そのあとに続いて欅のロゴが現れて映画が終わることです。まるでライブが終わるときと同じように。

あとがき

初めて見たときは、平手やメンバーの葛藤を映しだすシーンの多さに心がとてつもなく疲れ、家に帰ったあと寝込むように眠ってしまいました。しかし2回3回と重ねるごとに、細かい部分やこの映画が伝えたい本質の部分が見えてくるようでしたし、なにより飽きないですね。

自分の知らない・見たことないライブ映像や舞台裏や、こんなことあったなぁと懐かしむ場面が盛りだくさんです。これまでの5年間を2時間半に集約しているため、描き切れなかったものがたくさんあると思います。その点だけはとても残念なのですが、この映画に関しては、高橋監督はよくまとめてくれたなと感じました。

いつか達成感で泣ける日が来ますかねと語っていた平手にとって、東京ドームの「角を曲がる」や、紅白の「不協和音」はそれに該当したのかもしれません。この映画は平手本人があらためて語ったシーンは一切なく(監督も平手に何度か依頼したが快諾は得られなかったと)、彼女がそのときどう思ったのか、本当のところは結局明らかになりません。

映画のタイトル「僕たちの嘘と真実」は、言葉通り「本当はこうだったよ」と暴露する映画というわけではありません。カメラやファンの前に立ち、何かを表現するために自分を隠して物語の主人公を演じることを「嘘」とするならば、その中にある彼女たちの本物の想いや姿を見出すことを「真実」として我々に捉えてほしいのかなというのが、私なりのかいけんです。じゃなくて見解です。

欅が中心の映画はもう作られることはないと思いますが、これまでの5年間は私たちファン一人一人の記憶に、心に刻まれています。記憶というものは気まぐれなもので、それぞれが持っているものには微妙なズレが生じてしまいます。過去の映像とともに、今回の映画が記憶をすり合わせるためのコンテンツになればいいなと感じました。

これからも卒業・脱退したメンバー、そして新たな坂を上る現メンバーたちの幸せを願いながら、筆を置くとします。