知られざる苦悩と、乗り越えた先にある虹色の景色。 日向坂46『希望と絶望』感想レビュー

2022年7月15日

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7/8に日向坂46のドキュメンタリー映画第二弾、『希望と絶望 その涙を誰も知らない』が公開されました。初日に観てきましたので、感想を話していきたいと思います。

※内容のネタバレを含みます。まだ鑑賞していない方はご注意ください※

コロナ禍での活動と、メンバーの復帰・新加入

前作の最後に終盤に描かれた、「ひなくり2019」での東京ドーム公演決定のサプライズが映し出される様子から始まります。しかし希望に満ちた始まりとは裏腹に、世界はコロナ禍に突入していきます。握手会や様々なイベントが中止になります。いつの日か、再び握手会を行うことができる日は来るのでしょうか。個人的には握手できなくてもいいから、本人の目の前で直接、日頃の感謝を伝える場が欲しいなと思います。

悪い話だけではありません。これまで坂道研修生として参加していたメンバーが、それぞれ乃木坂4期生・櫻坂2期生・日向坂3期生として配属されることが決まりました。既に活動をしている「上村ひなの」に加えて、新たに「髙橋未来虹」「森本茉莉」「山口陽世」が加わることになりました。さらにけやき坂46の時から学業のために休業していた「影山優佳」も活動に復帰しました。サッカー好きな自分としては、影ちゃんの復帰は特にうれしいです。知識量や着眼点がプロも一目置くほどすごいです。

ライブに関しても無観客の配信ライブでありながらも行われました。ただ、お客さんの入っていない会場でのライブはやはり違うようで、かとしは「リハーサルを繰り返しているみたい」と話し、みーぱんも「会場にパワーが吸い取られる感じ」と印象を語っていました。

メンバーの休養

その一方で、日向坂の躍進は続き、メンバーの個人仕事も徐々に増えていくようになりました。その忙しさも影響して、徐々に体調を崩すメンバーも増えていきました。9月には「松田好花」、11月には「宮田愛萌」が体調不良で休養に入ります。べみほはこの頃を振り返り、同期の2期生メンバーが次々と休みになることを気にかけてたと話します。また、この頃から卒業について考え始めている様子がうかがえました。

9月に日向坂46としては初のアルバム、「ひなたざか」をリリース。そのリード曲「アザトカワイイ」のフォーメーション発表の場において、これまで4作連続センターを務めていたこさかなに変わって、みーぱんがセンターに選ばれます。センターの重圧や苦悩を抱えて活動していたこさかなにとっても、転機となります。これは本当に、欅坂46と同じ道を辿ることにならなくてよかったと思いました。

この年の12月に開催を予定していた東京ドーム公演は延期となり、「ひなくり2020」は無観客での配信ライブが行われることになりました。そしてこのライブからこのちゃんが休養から復帰となり、映画では体力作りのリハビリを行っている様子が映し出されます。仕事終わりのかとし・べみほ・ひなのも応援に駆けつけていました。このちゃんは、はじめは自分がいないグループの活動を見るのが嫌で、番組とかも見ないようにしていたけど、定期的に連絡をくれるメンバーやパフォーマンス時に「納豆ポーズ」をしてくれる様子を見て、戻りたいと思うようになったそうです。休んでるほうも待っているほうも、それぞれで抱えている色んな想いがあると思いますが、無事戻って来てくれてよかったなと思います。

久しぶりの有観客ライブと、センターの苦悩

2021年の3月には、グループ結成2周年をお祝いするライブ「ひな誕祭2021」が開催され、配信に加えて700人という少ない規模ですが、会場にお客さんを入れての有観客ライブが実現しました。メンバーがパフォーマンスをするステージの上から、目の前に広がる空色のペンライトに染まった観客席が映し出され、その様子は思わずグッときました。

5thシングル「君しか勝たん」のフォーメーションが発表され、かとしの名前が最後に呼ばれました。センターを務めるのはけやき坂46の「ハッピーオーラ」以来。かとしはインタビューで、前の時にMV撮影でたくさん泣いたし、もう選ばれないと思ってたと心境を話します。「お姉さんの立場でセンターを支える役目だと思ってた」と。

1期生としてグループの中心を担い、推しメンのひとりでもあるかとしが選ばれたのは嬉しかったです。ですが、彼女自身も話す通り、0か100でしか力加減ができないかとしは、この期間もより全力で仕事に取り組んでいきます。追い打ちをかけたのが、ひなあいのヒット祈願企画で挑戦したチアダンス。センターということと、その身体能力の高さからバク転の大技に挑戦することに。別の仕事と並行して、合間の時間を縫ってダンスやバク転の練習を行うこととなります。「思い出すだけでしんどいです。しんどかった」と当時を振り返り話します。しかし、そのことを話してしまうことで「仕事が減らされちゃうんじゃないか」と心配で、誰にも相談することができなかったと話します。当時の監督の取材でも、「心は大丈夫だけど体は疲れている。家に帰りたい」と心境を吐露していました。

チアダンスの生配信の本番直前でも顔には疲労困憊の色が出ており、実際の本番でも補助付きでのバク転も上手くいかず、最後のポーズをとると同時にフラフラとその場にうずくまってしまいました。ステージ上のパフォーマンスではそんなそぶりを一切見せずに笑顔で踊っている印象の強い曲。こんなにギリギリの中で活動していたんだと思うと胸が詰まります。

こさかなの休養と、ライブでの葛藤

センターを外れたものの、映画「ヒノマルソウル」やラジオ、モデル活動、写真集と多忙を極めるこさかなにもまた、限界が近づいていました。レッスン時も表情は暗く、うつろな顔に。そして6月、休養発表がされました。

べみほは当時を振り返り、何もしてあげられないけど、手を取ってあげて。「この手を離したら、戻ってこないんじゃないか」と語りました。先日の卒業セレモニーのときには、こさかなはそのことに触れて感謝を伝えていたので、とても大事な行為だったんだなと改めて思いました。

7月には、櫻坂46と合同開催となる「W-KEYAKI.FES 2021」が開催されました。その2日目の単独ライブと、3日目の合同ライブに参加しています。

2日目は前日と変わり晴天、というより炎天下で、体力も限界の中で精一杯のパフォーマンスを披露してくれました。しかし終演後、ライブ監督からは厳しい言葉をもらうことになります。グループLINEに「『誰跳べ』は、今までで一番つまらなかった」と辛らつな言葉があったと言います。それに奮起して、3日目はがむしゃら感をより出して、全力で乗り切りました。しかし今野さんにまで「まだ足りていない」と言われてしまい、くみてんやかとしは外に出て不満の限りを太い声で叫んで発散させていました。自分は配信で全部見させていただきましたが、とてもそんな厳しい言葉をかけられるような出来や状況ではなかったと思います。

そんな禍根を残す中、9月から日向坂として初のアリーナツアー「全国おひさま化計画」がスタート。MCの前後にも着替えがある、常に走っての移動が強いられる難しいセトリになっていました。このままでは厳しいと判断したメンバーは、話し合いの後にスタッフに相談。その甲斐もあり、ツアー期間中でありながらセトリが見直されることになりました。このことをきっかけに、メンバー・スタッフ一緒にライブを作っていけるようになったとくみてんは話しました。

ついに見えた「東京ドーム」。そしてべみほの卒業発表

10月には6thシングル「ってか」が発売され、おすしが初のセンターに抜擢されます。そして12月。恒例となったクリスマスライブ「ひなくり 2021」が開催。その場で、今度はメンバー自身の口から、翌年3月に「ひな誕祭」の開催されること、そしてその場所が東京ドームであることが告知されました。

そのライブのリハーサル、そして7thシングル「僕なんか」の制作にあわせて、ついにこさかなが復帰しました。フォーメーション発表では、なんと復帰したばかりのこさかながセンターに選ばれました。「私なんかでという不安は変わらずあるけれど」と話しますが、心境に変化もあったようでした。

そしてべみほの卒業についても、メンバーの前で自身の口から明かされます。「演技の道に興味が」と話していましたが、卒業セレモニーの時にも名言はしてなかったので、卒業後の具体的な進路については初耳でした。今までグループでのドラマはもちろん、外仕事でも演技について他とは一線を画す何かがあると思って見ていたので、これからも演技の仕事を続けてくれることは嬉しかったです。

復帰を果たしたものの、こさかなの体調はまだ万全ではない様子でした。かとしは「自分の時は誰かに頼ることができなかったから」と、ことあるごとに支える姿勢を見せていました。

25人の、約束の彼の地

そうして、東京ドーム公演に向けて念入りなリハーサルが行われる中、本番の5日前にひよたんが新型コロナウイルス陽性になったことがメンバーに知らされます。リハーサルを中止してすぐにPCR検査を受けるため、病院に向かうことになりますが、自身の卒業もあり、全員で出ることに強いこだわりを見せていたべみほが、事実を受け入れられなくてその場で泣き崩れてしまいます。もちろん誰が悪いとかはない状況なので、そのやるせなさに胸が締め付けられます。

検査の結果、その他のメンバーの陰性が確認でき、残った21人で臨むことになりました。ひよたんはこれなかったものの、会場の客席にはけやき坂46で共に活動した「長濱ねる」と、そして日向坂46としても活動した「柿崎芽実」、「井口眞緒」の1期生3人の姿がありました。特にめみは卒業と共に芸能界も引退しているため、ほんとに久しぶりの登場です。横顔しか見えないしマスク姿でしたが、さらに可愛く美人に成長しているのが感じられました。

おなじみの円陣を組み、それから少しだけ公演の様子が映されます。ライブの最後にはこの場所をずっと夢見て歌ってきた「約束の卵」を歌います。念願の東京ドームへの夢は果たされ、無事に終わることができました。

エンドロールでは「飛行機雲ができる理由」が流れ、ひなあいなどでの活躍の姿が映され、メンバーひとりひとりが映像と共に名前が紹介されます。現行の22人全員での歌唱が最後となったこの曲。最後にふさわしいです。

エンドクレジットでは、個別のインタビューを終えたくみてんとべみほが向き合います。それぞれが今後の幸せを願う言葉を述べます。次に東京ドームでやるときは、今度はひよたんもいるから自分も行きますと言っていたべみほの言葉が実現することを心から願います。きっとその頃は4期生も加入して、日向坂46はさらに大きな存在に成長していることでしょう。

劇場グッズ

劇場では様々なグッズが販売されていましたTシャツは白と空色の2種類。缶バッジはひとり2個までとのことでした。開封の結果はきょんことまなふぃでした!

日向坂新聞も過去のものが販売されていたので、2022年春号を購入しました。べみほの生写真が付いているのが嬉しい。

パンフレットは普通の映画のと違いなんかしっとりとしていて高級感があります。映画の内容というよりは、メンバーひとりひとりの撮り下ろし写真(缶バッジと同じ衣装)とインタビューが掲載されています。東京ドームという夢を叶えたメンバーたちの、次の目標について語っている内容が興味深いです。

最後に

前作はけやき坂の活動から改名して日向坂になるまでの苦労や苦悩があったと思いますが、今度は活動の幅が広がっていく中で、それぞれの考えがあったり、もちろんコロナ禍の制限された活動の苦悩という、さらに次のステップに進んだからこその試練が待ち受けていたように思います。そしてそれを乗り越えたからこそ、東京ドームの成功と今の活動があるのだなと改めて感じることができる内容でした。

「だから日向坂が好きなんだ」と、再認識させてくれる映画だったと思いました。