THE LAST LIVE(後編)
10/12(月)、13(火)の2日間で行われた欅坂46「THE LAST LIVE」(配信ライブ)。その模様と感想を、前後編の約1,2000字レポートでお届けします。
13日(火)THE LAST LIVE 2日目
2日目最終日も18時から「00.Overture」までの流れは同じです。ただし、Overtureが終わると同時に暗がりの中で前屈みに隊列を組む姿は、昨日と違います。ゆいぽんの「ラストォ、ぶち上がれぇ!!」と怒号にも似た過去最高の煽りで「埼玉の狂犬」を発揮すると、「01.危なっかしい計画」が始まります。衣装は黒字の英語で”歴代シングルのタイトル”が書かれたフード付きの白いパーカーに、黒いスカートという出で立ちです。黒いハーネスのようなものも付いています。メンバーは今回のライブグッズの、それぞれの名前が書かれたマフラータオルをサビで勢いよく振り回します。このライブを持って欅坂46とともに活動を終える佐藤詩織(しーちゃん)の目には涙が光っています。彼女たちは今持てるパワーをすべて注ぎ込むかのように、”動”のライブが幕を開けました。
次に披露された「02.手を繋いで帰ろうか」では、この曲の主人公を演じる菅井(彼氏)と守屋(彼女)がステージを飛び出すのですが、アリーナには地図のようなものがプロジェクションマッピングで表示され、その上に実際にアイスカフェラテの置かれたカフェを再現したり、「欅坂停留所」の看板が出てきたと思ったらゴーカートのような車で二人が疾走したり、通り道には新2期生たちが二人一組になって恋人を演じるなど、ミュージカルのように会場全体を使ってパフォーマンスしました。最後のキスはやっぱりお預けです。
小池美波(みぃちゃん)の卒業式。BGMは「バレエと少年(ピアノver.)」。「欅に入ってから負けず嫌いになった」と過去の映像で成長を語るみぃちゃん。ハイトーンの可愛い声で関西弁を話すギャップを持つ彼女は、3rdシングル「二人セゾン」でフロントに抜擢され、大きく成長していきました。この曲が大事であるゆえに、とっさの判断で平手の抜けた穴を埋めるソロダンスを披露したのが印象的です(2018全国ツアー)。前日の「Student Dance」では間奏のダンス四天王の一角もつとめていました。
そして「03.二人セゾン」(センター:小池美波)をアリーナの真ん中、幕に欅の木が映し出された背景の中で踊ります。出会いと別れを歌ったこの曲は、特に今の彼女たちや我々に響く歌のような気がします。「二人セゾン」に限らずなのですが、「センターを代わりにやっている」という印象がなくて、センターに入ったひとりひとりが、その曲を自分のものにしてパフォーマンスしていると強く感じました。
「04.太陽は見上げる人を選ばない」も会場を広く使って披露され、ミラーボールで会場全体がキラキラと輝く中、新2期生を含めた27人全員で披露しました。「W-KEYAKIZAKAの詩」も見たかったのですが披露されませんでした。おそらく、活動の後半はこの曲がその意思を継いで、全員で気持ちを一つにして歌う曲となったのだと思います。
原田葵(あおたん)の卒業式。BGMは「二人セゾン(ピアノver.)」。過去の映像で「自分らしく頑張りたい」「私は人の2倍頑張らないと置いてかれちゃうから」と話していたのが印象的です。途中、学業専念のためお休みもしていたあおたん。欅共和国2019で戻ってきた姿を目にしたときはとても嬉しかったです。ブランクを埋めるため、本人が言っていたように人一倍頑張ってくれたんだと思います。小学生と弄られていたあおたんも、美人さんに成長を遂げました。
続いて披露されたのは「05.制服と太陽」(センター:森田ひかる)。私の大好きな曲です。学生の時にこの曲を聴いていたら、もしかしたら今とは違う人生を送っていたんじゃないかというほど、進路を決める大切な時期をテーマにした曲です。パフォーマンス中の背景には過去のエモい写真がスライドで映し出されており、メンバーもチラッと歌いながら見ている様子がありました。
続けざまに「06.世界には愛しかない」(センター:守屋茜)のイントロが流れてきます。歌い出しの、守屋(あかねん)が”全力で走ったせいで息がまだ弾んでいる”中で、「歩道橋を駆け上がると~」と歌い出すところが好きです。2番で菅井(ゆっかー)が「夕立も、予測できない未来も、嫌いじゃない!」と顔を輝かせて歌うところも、過去最高の輝きだったと思います。
尾関梨香(おぜ)の卒業式。BGMは「バスルームトラベル(ピアノver.)」。箱型のステージの上下左右に映像が流れます。おぜは「尾関スタイル」と名付けられるほどの運動音痴や、個性的な長澤まさみのモノマネで注目を浴びました。学業とも両立させる真面目な面もあって、努力の出来る人です。後輩からもよく慕われていますよね。欅共和国での小隊長姿はとても可愛らしく、あの公演のMVPでしょう。
それが終わると小池・齋藤・松平・山﨑が出てきて、初披露の「07.コンセントレーション」(センター:小池美波)を披露します。特に2期生の松平・山﨑にとっては初のユニット曲ですが、少人数になるとあらためてその成長が目に見えるというか、天ちゃんの笑顔がはじけるさまや表情の作り方は、とても自然で見ていて頼もしいと思いました。
続いても初披露の「08.Deadline」(センター:渡邉理佐)です。菅井・守屋・渡邉・松田・田村と、青マリに続きそうな予感のユニットが形成されました。背景には壮大な世界各地の景色が映し出され、この曲の歌詞と欅坂46のメンバーの旅立ちを表現しているかのようです。
ステージの地面に過去の映像が流れ、その上に2期生9名が背中合わせで輪になるように、自然と手を繋いで立ちます(2期生の卒業式)。涙を浮かべているメンバーもいます。配属されてからCDの発売がなく、不遇ともいえる時期を過ごしましたが、持ち前のポテンシャルを発揮してライブやバラエティで活躍をして、今では欠かせない存在となりました。
「09.10月のプールに飛び込んだ」(センター:森田ひかる)の歌唱中、ステージの前で曲にあわせて水が噴き上がります。イオンカードライブで初披露されましたが、そのときと同様、1番のサビ後半で藤吉が前に躍り出てきて森田と一緒に踊る。そこに菅井も加えて2番に入ると、徐々に一緒に踊るメンバー(プールに飛び込んでくるメンバー)が増えていく。それをじっと見つめていた関も入ってきて、ラスサビでは田村がセンターで踊っているところに、森田が我慢できないというように出てきて一緒に笑顔をはじけさせて踊る姿が印象的な曲です。
会場中央で吊されたライトの演出が入り、「10.砂塵」(センター:菅井友香)が初披露されます。スモークの演出が、ほんとに砂塵が舞っている中で踊っているようで、曲調にあった明るい表情で菅井はじめメンバーが踊る様子が印象的です。初めこそCMとの音程の違いに違和感を覚えましたが、今は気になりません。この爽やかな曲を櫻坂46でもやってほしいです。
虹色にライトアップされた噴水に遊園地のようなBGMが流れてきて、それが時折遅くなるような、巻き戻るような音を出していき、「11.風に吹かれても」(センター:小林由依)が始まります。ラスサビのところで、ワイヤーに吊るされた小林がぐわーんと、”堂本光一ばりのフライング”を見せていたのが、めちゃくちゃカッコよかったです。
「12.アンビバレント」(センター:小池美波)(通称:みぃビバレント)は会場を再びプロジェクションマッピングで彩り、MVさながらの鮮やかな空間で踊っていきます。”黄色く乱反射するライト”を手に踊ったりと、スタイリッシュなパフォーマンスが続きます。
ステージとは反対側に位置する門扉が開き、赤い光の向こうから帽子を被った黒ずくめの集団が現れます(INFINITY)。進む先には白いロングシャツに黒いパンツ姿のメンバーたちがいます。歩み寄る途中に吊り下げられた”ロングMA-1コート”を羽織り、お互いの距離が目と鼻の先となり、肩を押し合ったり一触即発のムード。そして「13.ガラスを割れ!」(センター:小林由依)が始まります。MVのように黒ずくめの集団との抗争を表現したパフォーマンス。ラスサビ前の間奏ではメンバーたちが「うわぁー!」と叫び声、雄叫びを上げます。曲の最後には欅坂46が勝利して終わるのですが、黒ずくめの集団の集団の中にTAKAHIRO先生がいたような気がしたのですが、私の気のせいでしょうか。あ、気のせいでした。
守屋茜(あかねん)の卒業式。BGMは「手を繋いで帰ろうか(ピアノver.)」。「手を繋いで帰ろうかをきっかけに前に踏み出す勇気をもらった」ことを過去の映像で話しています。勝利と美を追求し、軍曹とか美容番長と称されるあかねんは、欅坂46の副キャプテン。キャプテンであるゆっかーのサポートや、円陣での掛け声でグループを盛り立てます。てちや天ちゃんら年少メンバーを気遣うお姉さんな一面も持つあかねんには、今後も期待です。個人的には、けやかけ内で、ツボに入ったときの笑い方が好きです。
一列になって手を繋ぐメンバーの衣装は「14.誰がその鐘を鳴らすのか?」になっています。会場には、終わりに向かう緊張感があらためて漂ってきた気がします。おなじみとなっている曲中の「一斉に口をつぐんで」の天ちゃんの振り付けが、”欅ポーズ”に変わっています。おそらくここの振り付けはアドリブなのかなと思いました。また、ゆっかーの表情が涙で崩れているようにも見えるシーンがあったので、なおさら終わりの瞬間を感じました。
菅井友香の卒業式。BGMは「世界には愛しかない(ピアノver.)」。冠番組「欅って書けない?」(けやかけ)では、お嬢様キャラ(キャラ?本物?)や滑舌を弄られていました。今は滑舌よりも噛むことを気にしているようではありますが。はじめこそセンターの平手が挨拶やMCをする機会が多かったですが、徐々にその役割はゆっかーに受け継がれ、2016年の有明ライブでの涙ながらのスピーチは有名ですね。そしてその後キャプテンに任命されて、ここまでグループの代表として活動してきました。評価も批判も矢面に立つのは平手だったかもしれませんが、ゆっかーもてちに負けないぐらいの苦悩や葛藤を抱えていたと思います。だからこそ、百万馬力で頑張ってきたゆっかーへ、メンバーもファンも信頼を寄せています。櫻坂46でもキャプテンをやるのか今のところ不透明ですが、これからも変わらず中心を担う大切な存在です。
ここから衣装はサイレントマジョリティーになっています。後ろから出てくるメンバーたちが菅井の肩に触れていき、列を作ります。そしてゆっかーの最後のスピーチが始まります。「欅坂46でよかったとあらためて思ったこと」、「人生の一部に感じていること」、「永遠ってないのかなと思うからこそ、かけがえのない存在だと言うこと」、「人生を変えたいとオーディションを受けたメンバーが多い中、支えてくれたファンのみんながいたからここまでやってこれたこと」、「楽曲にも支えられ、自分たちらしくいていいと教えてくれたのは欅坂46であること」、「思い出を決して忘れないし、ファンの心の中で生き続けてくれたらうれしいということ」。「いつもキラキラの緑のペンライトで道を作ってくださり、欅坂46と出会ってくださりありがとうございました」と挨拶しました。
そして、これが欅坂46として最後の曲となりますと言って、すべての感情を飲み込んだきっとした表情で「15.サイレントマジョリティー」(センター:小林由依)と言って、曲が始まりました。ライブ初日でも披露した曲であり、欅坂46のすべてといえるの始まりの曲。最後もこの曲で締めます。前日と違い、今度は新2期生も含めた27人全員で披露します。力強く、時に感情を爆発させるように、それぞれがこの曲の主人公になって、すべてのしがらみを振り払っていきます。
曲の披露が終わり、最後にゆっかーから「皆さんとの5年間は宝物です。欅坂46が大好きです。本当にありがとうございました」と言っているときのゆっかーの顔が、もちろん照明は当たっているのはありますが、それだけじゃない輝きに満ちていて、”こんなに美しい人の顔を見たことがない”と、”生まれて初めて人のこんな輝いた顔を見た”と思いました。最後に「以上、欅坂46でした!」と挨拶をして深々とお辞儀、サイレントマジョリティーのオーケストラver.が流れる中スタッフロールが流れます。その中には卒業・脱退したメンバーや、けやき坂46のメンバーの名前もあります。最後までお辞儀をしていたメンバーたちは、最後に流れてきた「5年間 本当にありがとうございました。」の文字とともに顔を上げ、そして照明が消えます。
そして―――櫻坂46へ
暗くなった会場に、ゆいぽんの「その角を曲がると、新しい坂道が続いてた。」という声が聞こえてきて、櫻坂46の名前が発表されたときと同じCMが映し出されます。ただし今まで流れていたものより、所々セリフが追加されていたり、特に後半は「5年間たくさんの愛をありがとう。たくさんの夢をありがとう。私たちは今日生まれ変わります」と、この日ならではのセリフになっていました。「咲け、櫻坂46」とCMが終わると、森田ひかるを筆頭に、裾が薄く桜色になった白いワンピースを着たメンバーが出てきます。
状況を上手く飲み込めないまま、櫻坂46の1stシングル「16.Nobody’s fault」(センター:森田ひかる)(12月9日発売)のパフォーマンスが始まったのです。欅坂46が終わったことに対する余韻が一切なかったこと、突然新曲を発表したこと、センターがるんちゃんであること、選抜であること、推しメンである守屋・藤吉に加えて、新2期生(櫻坂では新旧関係なく2期生表記)の大園玲が抜擢されていることなどなど、色々なことが起きすぎて状況をすぐに把握出来ませんでした。でも、たぶんこの曲好きです。今はまだこの1回しか見ていませんが、そんな予感がします。そして披露が終わると他のメンバーも出てきて、縦一列になってライブの最初に出てきた門を通って帰っていくのですが、その先に生える木がはじめ欅の木だったのに、なんとそこに満開の櫻が咲きました!そして本編が終了しました。
アフターライブでは、前日と同様にメンバーが2期生から順番に出てきて、ひとこと挨拶をします。前日より悲しみの様子はなく、それでも寂しさを持っているメンバーはいて、それを表すかのように挨拶に「欅坂46」と言ったり、「櫻坂46」と言ったり、併用したり、あるいは何もつけずに名乗る人などなど。メンバーたちもまだすぐには整理できていないのでしょう。個人的に印象に残ったのは藤吉夏鈴で、色々な感情や思うことがあったと思います。だからこそひとこと「本当にありがとうございました」と言って、多くを語らず挨拶を終えました。ゆっかーに関しては「さ、櫻坂(笑)」と初っ端から噛んで、笑いを誘っていました。グループ名が変わっても変わらずいてほしいですし、キャプテンであり続けてほしいと改めて思いました。はぶちゃんに関しては、坂道にかけて「思わずすってんころりんしないように」と相変わらずの土生ワールド全開で場を和ませました。全員の挨拶が終わるとフリートークの時間。ここでは欅坂46で卒業して、先ほどの挨拶には出てこなかった佐藤詩織も参加します。ライブ中は涙も見せていましたが、最後は笑っている姿が見れて良かったです。田村や小林は最後のライブということで、ライブ中いつもよりメンバーと目が会う回数が多かったと話していました。変顔してくる人もいたとか。初日でフライングを披露したうえむーは、「下を見てないから怖くなかった」と話していました。でも腹筋が痛いそうです。櫻坂46になっていきなり選抜メンバーに選ばれた大園も、緊張が解けたのでしょうか、涙で顔を濡らしながらトークに参加していました。そして昨日に引き続き、この日も誕生日メンバーがいます。松田里奈の21歳の誕生日をみんなでお祝いしました。最後に森田が今後の抱負を語って、ライブは幕を閉じました。(この日はなかったのですが、今後挨拶の時のポーズがどう変わるのかも、気になりました。)
あとがき
まずライブ自体は、過去のどのライブと見比べても遜色のない、まさに有終の美で飾ったライブでした。今回は出番の少なかった新2期生たちも、今後活躍の場が広がるといいなと思うし、その中でも大園玲ちゃんの今後は、バラエティだけでなくパフォーマンス面にも注目です。セットリストも「W-KEYAKIZAKAの詩」、「渋谷川」や新曲以外のユニット曲が披露されなかったのは少し残念ですが、それでも全体曲をほぼ全部披露するというめちゃくちゃ強いセットリストでした。櫻坂46になっても、限られてはしまうと思いますが、欅時代の曲を披露してくれるといいな、というかそこまで封印する必要はないんじゃないかなと思います。
突然の櫻坂46登場は、それまで涙でぐちゃぐちゃになっていたところから、一瞬、ぽーんと一気に突き放されたような感覚になりました。欅坂46のラストライブとしては、せめてこの日だけは感傷に浸らせてほしかったなと思いました。でも、そう思う反面、有無を言わさず櫻坂46の新曲が披露されたことは切り替えという意味では良かったんじゃないかと思います。「おまえら、いつまでもくよくよ引きずってんじゃねぇよ!」と言ってくれている気がします。これからは欅坂46をいい思い出として、あまり引きずらないようにして、それでもたまに思い出して涙したりしながら、櫻坂46の新たな門出を祝うとともに、これからも応援していく所存です。
春夏で恋をして、秋冬で去って行った欅坂46。花のない櫻を見上げて、満開を迎えるその日を思って、レポートを終了します。
2日目セットリスト
- 00.Overture
- 01.危なっかしい計画
- 02.手を繋いで帰ろうか
- 03.二人セゾン
- 04.太陽は見上げる人を選ばない
- 05.制服と太陽
- 06.世界には愛しかない
- 07.コンセントレーション
- 08.Deadline
- 09.10月のプールに飛び込んだ
- 10.砂塵
- 11.風に吹かれても
- 12.アンビバレント
- 13.ガラスを割れ!
- 14.誰がその鐘を鳴らすのか?
- 15.サイレントマジョリティー
- 16.Nobody’s fault(櫻坂46)
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